2016年11月24日木曜日

日本福音ルーテル教会、カトリック教会 宗教改革500年共同記念企画

ガウク大統領(左)、高見大司教(中央)、大柴副議長(右)
カトリック浦上教会被爆マリア像小聖堂にて
2016.11.18(写真提供 カトリック長崎教区)
 日本福音ルーテル教会(議長/立山忠浩牧師)と日本カトリック司教協議会(会長/高見三明大司教)は、宗教改革500年を共同で記念するため、2017年11月23日(木)にカトリック浦上教会(長崎県長崎市本尾町1ー79)において、共同企画を行います。

 マルティン・ルターの問題提起に端を発した宗教改革運動は、結果として世界に分裂をもたらしましたが、もはや「対立から和解へ」との歩みの中にあります。宗教改革から500年の節目の年に、現代世界の争いを想起しながら、対立から平和の実現に向かうモデルを伝え、祈りを合わせる記念企画を構想しました。

 これに先立ち、高見三明と大柴譲治(日本福音ルーテル教会副議長)とは、2016年11月18日、カトリック浦上教会において、宗教改革の始まりの地であるドイツから来日中であったヨアヒム・ガウク ドイツ連邦共和国大統領と面談し、同企画について説明し、協力を要請しました。ドイツ福音主義教会牧師でもあるガウク大統領は、両教会の歩みに祝福をお祈りくださいました。

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宗教改革500年共同記念
<平和を実現する人は幸い>
シンポジウムと記念礼拝
日時 2017年11月23日(木/祝)10:00〜15:00
会場 カトリック浦上教会(浦上天主堂)
共同主催 日本福音ルーテル教会・日本カトリック司教協議会

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2016年11月10日木曜日

ルーテル世界連盟とカトリック教会との共同声明(2016.10.31)

 
共同声明
 
 20161031日、ルンドにおいてカトリックとルーテルが宗教改革を共同で覚えるに当たって
 
「わたしにつながっていなさい。わたしもあなたがたにつながっている。ぶどうの枝が、木につながっていなければ、自分では実を結ぶことができないように、あなたがたも、わたしにつながっていなければ、実を結ぶことができない。」(ヨハネによる福音書15章4節)

 ●感謝の心をもって
 この共同声明をもってわたしたちは、宗教改革500年を覚える年の始まりに当たり、ルンドの大聖堂において共同の祈りを捧げるこの機会のゆえに神に喜びをもって感謝していることを表明いたします。カトリックの人々とルーテルの人々との間にもたれた、実り多いエキュメニカルな対話の50年がわたしたちにとって多くの違いを乗り越える助けとなり、わたしたちの相互理解と信頼を深めてきました。同時にわたしたちは、しばしば苦難や迫害の中で苦しんでいる隣人に対する共同の奉仕をとおして互いにより近しい者となりました。対話と分かち合った証しとをとおしてわたしたちはもはや他人同士ではなくなりました。むしろわたしたちは、わたしたちを結び付けるものがわたしたちを分かつものよりも大きいことを学んできました。

 ●争いから交わりへと変わっていく
 宗教改革によって受けた霊的、また神学的な賜物に深く感謝しながら、わたしたちはまた、ルーテル教会もカトリック教会も教会の目に見える一致を傷つけてきたことをキリストのみ前でざんげし、悲しみます。神学的違いには偏見と争いとが伴いましたし、宗教は政治的な結果に至る手段となりました。イエス・キリストを信じるわたしたちの共通の信仰とわたしたちの洗礼はわたしたちに日毎の悔い改めを求めています。それによってわたしたちは、和解の務めを妨げる歴史的な争いと不一致とを捨て去ることができるのです。過去は変えることができないのですが、何が記憶されるのか、それがどのように記憶されるのかは変えられうることです。わたしたちお互いの見方を曇らせてきた傷と記憶の癒しをわたしたちは祈ります。わたしたちは過去と現在のすべての憎しみと暴力、特に宗教の名によって言い表されてきたそれらを強く斥けます。今日わたしたちはすべての争いを捨てるようにとの神のご命令を聴いています。わたしたちは、神が絶えずわたしたちを召しておられる交わりへと向かうように、恵みによって自由にされていることを確認しています。

 ●共に証しすることに向けてのわたしたちの参与
 わたしたちの重荷となっている、歴史上のこれらのできごとを乗り越えて進むとき、わたしたちは十字架にかかり、挙げられたキリストにおいて見えるものとされている神のいつくしみ深い恵みに応えて、相共に証しすることを堅く誓います。わたしたちが堅く関わりをもつあり方こそが福音へのわたしたちの証しを形作ることを意識して、完全な一致を得ることからわたしたちを妨げている、まだ残っている妨げを取り除くことを求めて、わたしたちは洗礼に根拠づけられている交わりにおける更なる成長に深く関わります。キリストは、わたしたちがひとつとなって、この世が信じるようになることをお望みです(ヨハネによる福音書17章23節参照)。

 わたしたちの共同体の多くの会員たちは、十全な一致の具体的な現れとして、ひとつの聖卓で聖餐を受けることを心から願っています。全生活を共にしながら、聖餐の聖卓において神の救いの現臨を分かち合うことができない人々の痛みを経験しています。わたしたちはキリストにあってひとつとなるという人々の霊的な渇きと飢えとに応えるべき、わたしたちの牧会的な共同の責任を認識しています。わたしたちはキリストのからだにおけるこの傷が癒されることを切に願っています。これは神学的な対話へのわたしたちの関わりを新たにしていくことによってもまた、わたしたちのエキュメカルな努力の目指すところなのです。
 
 わたしたちは神に祈ります。カトリックの者たちとルーテルの者たちがイエス・キリストの福音を共に証しし、神の救いの働きを受け入れるべく人々を招くようになることを。わたしたちは共に奉仕の務めに立って、特に貧しい人々のために、人間の尊厳と権利とを高め、正義のために働き、あらゆる形の暴力を斥けることにおいて共に奉仕に当たることができるよう、霊の導きと勇気と力とを神に祈ります。尊厳、正義、平和、和解を切に求めているすべての人々にわたしたちが近づくようにと、神は呼び掛けておられます。今は特に、多くの国々や社会で、またキリストにある数え切れないほどの姉妹や兄弟たちに影響を及ぼしている暴力や過激主義を終わらせるよう、わたしたちは声を挙げねばなりません。わたしたちはルーテルやカトリックの人々に、知らない人々を受け入れ、戦いや迫害のゆえに逃れることを強いられた人々に助けの手を差し伸べ、難民や亡命を求める人々の権利を守るよう、共に働くことを強く求めます。
 
 以前に増して一層わたしたちは、この世界におけるわたしたちの共同の奉仕が開発や飽くことを知らない欲望にさらされている神の創造へと拡張されねばならないことを認識しています。わたしたちは将来の世代が神の世界をその可能性と美しさのすべてにおいて享受する権利を認めます。わたしたちは、この被造の世界のために愛と責任をもってこれを導くよう、心と思いが変わっていくように祈ります。
 
 ●キリストにあってひとつ
 この絶好の機会にわたしたちは、ここに同席し、わたしたちと祈りを共にしている、世界のキリスト教諸教会や交わりを代表しているわたしたちの兄弟姉妹にわたしたちの感謝を申し上げます。争いから交わりへ進もうと取り組むに当たってわたしたちは、洗礼によってそこに加えられている、キリストのひとつのからだの一部分としてそうしているのです。わたしたちはわたしたちの努力を思い起こさせ、また、わたしたちを励ましてくださるよう、エキュメニカルな同志にお願いします。わたしたちはこの同志に、わたしたちのために祈り、共に歩み、今日表明している、祈りを込めた努力を生き抜くに当たってわたしたちを支え続けてくださるよう求めます。

 ●世界中のカトリックとルーテルの人々への呼び掛け
 わたしたちはすべてのルーテルとカトリックの教会員と教会に、わたしたちの前にある大きな旅を続けることに加わって、大胆であり、創造的であり、喜びをもち、希望をもつよう呼び掛けます。過去の争いよりもむしろ、わたしたちの間における一致という神の賜物が協働を導き、わたしたちの連帯を強めてくださるでしょう。キリストを信じる信仰において近付けられ、互いに耳を傾け合い、わたしたちの関係においてキリストの愛を生きることによって、わたしたち、カトリックとルーテルの者たちは、三位一体の神の力に心を開きましょう。キリストに根ざし、キリストを証しして、すべての人に対する神の限りない愛の信実の使者となるという定めをわたしたちは新たにするのです。

  (ローマ・カトリック教会) 教皇 フランシスコ
  (ルーテル世界連盟)    議長 ムニブ・ユナン
 


※日本福音ルーテル教会エキュメニズム委員会訳
 

2016年11月8日火曜日

重版されました『義認の教理に関する共同宣言』



ルーテル教会とカトリック教会とが共に宗教改革500年を感謝するに至る歩みの中で、重要な節目となった「ルーテル教会・ローマカトリック教会 義認の教理に関する共同宣言」。1967年から始められた神学対話の蓄積によって生み出されました。
2004年に日本語版が出版されるタイミングにおいて、初めての合同礼拝も行われました。
しばらく在庫がないままとなっていましたが、この度、2016年10月31日に、本書が重版されました。

宗教改革500年推奨図書と合わせ、どうぞお手にとってお読みください。

『義認の教理に関する共同宣言』
ローマ・カトリック教会/ルーテル世界連盟/ルーテル/ローマ・カトリック共同委員会訳(教文館)
http://www.kyobunkwan.co.jp/publishing/archives/18131

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1999年10月31日にドイツのアウグスブルグで行われたローマカトリック教会(教皇庁キリスト教一致促進評議会)と、世界128の教会(当時)が加盟するルーテル世界連盟(LWF)との間で行われた「ルーテル教会・ローマカトリック教会 義認の教理に関する共同宣言」の調印式は、やや大袈裟に言えば、東西両教会が分裂してから1000年を経て初めて到達した、エキュメニズムの世紀とも呼ばれた20世紀を締めくくるのにふさわしい、宗教改革以来のキリスト教史上の画期的な出来事だったといわなければならない。もちろん「キリストのみこころである、目に見える一致」(「共同宣言」第44項)までははるかな道のりがあるにせよ、それに向けての確かな一里塚が打ち立てられたのだ。 
(江藤直純著『「ルーテル教会・ローマカトリック教会 義認の教理に関する共同宣言」その歴史的意義と課題』より)
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