2013年12月12日木曜日

ルーテル学院で発見された 『メリアン聖書』のその後...


(2013/12/12)
  ところで先に(2013.9.30)報じた、三鷹で見つかった『メリアン聖書』のその後だが、修復の専門家に見てもらい、相談の結果本格的に修復してもらうことになり、目下のところその専門家の手に委ねられている。来年のイースターの前には修復が終わって、図書館に戻ってくる由で、その際と、さらに9月の一日神学校の際にも、解説付きで特別な展示をすることも計画しているそうである。
  先日松本教会で奉仕する機会があった折りに、この聖書の話しをし、1630年のルター訳聖書には、章のほかに節が入っていることにも言及した。それに対して、同教会員の谷口俊一郎さん(信州大学医学部大学院教授)から示唆に富んだ見方をうかがった。
  それによると、中世は神学も科学も哲学の支配と枠の中にあったが、宗教改革とともに、神学ばかりでなく、科学も哲学の枠から出ることになっていったから、17世紀のその頃になれば、人々が数の有用性、利便性に注目するようになっていたことが、聖書に節を付す、ということの背景にもなっているのではないか、というのである。
  興味深い考えである。この『メリアン聖書』に関しては、今後のための記録として、来年の「ルター研究」に「研究余滴」の形で経過を一文にまとめておいた。(徳善義和)